日本のヤクルト本社は海外の投資家にとって馴染みが薄い企業である。もっとも同社のよく知られた商品で世界のあちこちで売られている赤い蓋の容器に入った善玉菌を含むヨーグルトのような商品だ。
日本のコーポレートガバナンスや中堅上場企業と海外投資家との関係についてヤクルトは興味深い事例ともなる。最適な例として同社とオーストリアの世界的な資産運用会社VGIパートナーズとの関係がある。
VGIはヤクルト株の約1%を保有しており、VGIの世界上場ファンドとアジア上場ファンドでヤクルト株はそれぞれ4.5%と6%を占める
ヤクルトの将来性は明確である。1930年第に創業されたにも関わらず健康志向の高まる市場で信頼されているブランドであり、中国と米国の双方で大きな伸び代がある。
しかし、手強い外国人投資家と伝統的な日本企業との間に時折生じる摩擦をこれほどまでに象徴する企業統治ドラマは他にない。
VGIは6/23の定時株主総会で、ヤクルト経営陣の取締役候補者に反対票を投じた。候補者の最年少は58才である。取締役会の外国人メンバーは2人からゼロになった。
外国人取締役がいたのは、昨年終了したフランスの乳製品大手のダノンとの関係の名残である。
他の欧米投資家もこの人事に反対した。
ヤクルトとVGIはヤクルトのデジタルマーケット活用について対立している。ヤクルトがマーケティング戦略について後ろ向きだと述べている。ヤクルト側は、商品を宣伝する三人のインフルエンサーを選出してあると述べている。
また、取締役候補の指名基準は適切な知識と経験を豊富に持っていることであり、年齢は関係ないとしている。
参照先: 週刊ダイヤモンド109号27巻 p17