新型ウイルス感染症に伴う緊急事態宣言が解除された。今、急を要するのは治療法の確立だ。
まず、COVID-19の病態として、発熱や倦怠感、咳などの症状が出る前から、ウイルスを排出して他人を感染させる可能性が高いことがわかってきた。ここが同じウイルスであるインフルエンザとは異なる部分だ。そしてこの特徴こそがCOVID-19のもっとも厄介な点である。 症状が出る前に感染しているかどうかの検査をすることは非常に困難だからだ。また、無症状の観戦者も多いと見積もられている。
検査法の一長一短
発症後の2−3週間あればPCR検査によって感染したかを判定できる。鼻や喉の分泌物を綿棒で採取し、コロナウイルスのRNAを抽出して遺伝子を増幅し、その有無を確かめるものである。ただし。PCR検査の精度はせいぜい70%くらいである。「偽陰性」の判定により、実際には感染している人がウイルスを拡散する可能性がある。「PCR陰性」は決して免罪符ではない。最近は、「抗体検査」も迅速に行えるようになってきた。ただし、抗体検査は体がウイルスと戦うために作る「イムノグロブリン」というタンパク質を検出するものだ。だから。「抗体陽性」となるのは病気のピークが過ぎた後で患者の隔離にはう悪に立たない。 とは言いつつも、感染したところからの集団としての分析ができることから1万人規模の抗体検査を行うことを決めた。
感染を予防するためにはワクチンの開発が必須で、世界各国で取り組まれている。従来の不活性化ウイルスを用いるワクチンだけではなく、抗原をmRNAに発現させてそれに対応した抗体が体内で産出されるように促す「mRNAワクチン」という新たなワクチンの開発も進みつつある。このため、エボラ出血熱の治療のために開発された抗ウイルス薬のレムデシベルが我が国でもいち早く治療薬として承認された。 この薬の作用は、ウイルスのRNA合成を阻害することで、ウイルスの増殖を防ぐものである。