[週刊ダイヤモンド] 125巻 要約と感想

PUBLISHED ON 2020-05-11 16:00:07 +0900 JST — DIAMOND

要約


 タイタニックのデータ予測では中途半端なモデルとのアンサンブル学習で精度がかなり落ちてしまって参っております。  来週にはTofleの試験があるので英語をメインで頑張りたいと思います。


商社のあるべき姿

 商社は一般に「過去最高益を更新し続けるエリート集団」と思われている。しかし株式市場での商社の評価は「資源バブルで偶然得た利益を使って資源の資産を積み増ししてきた中途半端な投資会社」というものだ。なぜそう評価されているといえるのか説明していく。


 まず、資源バブルが崩壊した08年以降、商社のPBRは概ね1倍を割っている。一般にPBRは1倍を割っていると会社は株主価値を毀損している。つまり何かしらの改善が必要な会社であることは間違いない。商社がPBRを1倍割っている理由として考えられるのは、株式市場が商社に対して成長を期待していないということ。そして、商社というビジネスモデルの株主資本コストが高いということになる。

PBR

経営者が株主から預かったお金(純資産)に対して、株式市場がどれくらいの価格を付けているのかという評価のものさしである。

 PBRをもう少し掘り下げる。ファイナンス理論上、EPS(一株あたりの当期純利益)の永久期待成長率をゼロとするならPBRはROE/株主コストとなる。つまり、株主資本コストを上回るリターンをあげているかどうかを表している。商社のROEは概ね10%で東証1部上場参加企業の加重平均よりも少し高く悪くないように見える。しかし、19年3月決算の最高益を出した時の寄与率では資源の価格高騰が大きく、実質的なROEは過去に比べ低く出ている。

 次に株主資本コストを考えてみる。商社のROEはそれなりに高いのに、なぜPBRが1倍を割っているのか。それは商社がコングロマリットであるがゆえに株主資本コストが高いからだ。簡単に言えば、商社はいろんな事業に手を出しているためその会社の評価が複雑化し、投資対象になりにくくなっているということだ。コングロマリットであるということはある事業が伸びても他の事業が縮んでオフセットされたりする。商社には優秀な人材が揃っているが、自分の専門でないビジネスについては他人に任せるしかない。つまり、経営者が管理できる範疇を超えているのだ。

 昨今では、日本でもアクティビストが受け入れられ株主目線のガバナンスが強まる中、今後も商社が安泰かどうかわからない。何しろ、ゼネラルエレクトリックやP&Gといった日本の商社をはるかに上回る巨大企業がアクティビズムの対象になるのだ。

今後の商社のあるべき姿

 商社には期待している役割がある。それは業界再編である。なぜならそれが日本の社会に残る大きな課題であり、商社が提供できる付加価値と合致しているからだ。特に日本では成熟市場であるにも関わらず小売りや製造業を中心に消耗戦が続いている。業界再編のニーズは強い。実際、コンビニでは商社が主導する形で業界再編が進んできた。しかし、他にも業界再編が必要な分野は多く、まだまだ道半ばである。海外ではアクティビストやプライベートエクイティなどの投資業者がこの役割を担っているが日本ではまだまだ資本市場が未熟であり、特に規模の大きな案件では期待しづらい。だからこそ商社の出番があると思われる。

TAGS: ECONOMY
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