原油相場は上昇している。今年1月13日は米国産原油のWTIで1バレル当たり53.93ドル、欧州北海産ブランドで同57.42ドルまで上昇し昨年2月以来の高値をつけた。11月始めには安値をつけたが、その後はコロナウイルスのワクチン開発への期待などから株式やその他のリスク資産と同様に原油相場も持ち直した。
米政権下では、環境対策重視の姿勢から石油資源の開発生産が抑制されて、原油需給が引き締まるとの見方もある。しかし、世界の石油需要は昨年7月をボトムに持ち直しつつある。とはいえ、12月には前年比7%減と依然として水面下であり、コロナの感染拡大によるさらなる需要の落ち込みも懸念される状況だ。
米政権下ではイランやベネズエラに対する制裁が緩和されて原油供給が増え、ガソリン車への規制強化から石油需要が減るという観測も強まりやすい。さらに相場上昇を受けてシェールオイル増産も視野に入ってくる。これまでの原油相場は経済正常化に伴って上昇が見込まれるが、目先はむしろ調整含みだろう。