金融データ分析 ①

PUBLISHED ON 2020-01-06 11:16:09 +0400 +0400 — ANALYSIS

クオンツ運用のノウハウ


  • さまざまな実証研究、金融機関のレポートなどで新しいファクターが提案されてその有効性が検証されている。

  • 機関投資家が提供するクオンツファンドでは、それらのファクターに基づく投資を行い、超過収益(アルファ)を効果的に獲得をする。

  • クオンツファンドの付加価値は以下のものがある。

    • コンセプトのファクター効果を享受するポートフォリオの構築
      • ファクター効果はスプレッドリターンで計測されることが多い
      • ファンド規模が大きい場合、流動性の低い小型株は購入できないことが多い
      • 売買コストもあり、実際に運用すと効果が低くなる可能性がある
    • 新しいクオンツファクターを発見する
      • 誰も知らない投資を行うことが付加価値になる
    • 既存のファクターを使い将来有効になりそうなファクターを時間経過とともに変更する
      • 将来有効なファクターを予測するためには時系列分析、機械学習などの様々な方法が考えられる

クオンツ運用の変遷

  • 代表的なファクター効果を効果的に享受できるポートフォリオをスマートベータと呼んでいる
    • インデックスベンダーは様々な投資効果をもつポートフォリオをインデックス(指数)として公開。
    • 機関投資家はその指数を手数料を払って利用
      • パッシブ運用 ー指数通りの運用をする
      • アクティブ運用 ー指数を利用して勝ちに行く運用
    • 代表的な指数ベンダー
      • MSCI (米国)
      • STOXX(欧州)
      • 野村證券

インデックスベンダーが公開するこれらのポートフォリオにそのまま投資をすればファクター効果を得られるため機関投資家の存在意義を問われることになった。

スマートベータビジネスの流れ

  • インデックスベンダー
    • 代表的なファクター効果が得られる実現可能なポートフォリオを有料公開
  • 信託銀行、資産運用会社
    • インデックスベンダーからポートフォリオのウェイト情報を購入してそのウェイト通りにポートフォリオ構築
  • 証券会社、資産運用会社
    • 運用会社が運用するポートフォリオをETFとして商品化して投資家に販売
      • ETF(上場投資信託): 普通に株式と同じようにいつでも売買できる投資信託
  • 投資家(機関投資家、個人投資家)
    • 代表的なファクター投資を行いたければ、証券会社などが提供するETFを購入するだけで良い

実際に国内ではこれらのスマートベータに連動するパッシブファンドや個人投資家でも購入できるETFが各投資信託から販売される。

これらのファンドはスマートベータ指数にトラックすることが目的であり、付加価値が低いため信託報酬が低い。

個人的に

証券会社は信託銀行で行われている業務を代替的に行う。つまり、インデックスベンダーから証券会社に直接の情報を伝達することが効率的に販売をできるのではないか思います。


スマートベータの実証分析

 スマートベータは本当にファクター効果を受けているのか。それを示すためにもまずは等ウェイト指数と市場指数の月次収益率をMSCLから取ってきたので、各データを累積収益率ごとに分けてグラフ化をした。

累積リターンでの比較

 上の図を見ると市場指数よりも等ウェイト指数の方が大きい値を取っている。これにより等ウェイト指数は有効な収益率を示していることがわかる。 これを実証分析によるファクター効果を享受できているのかという議論に置いて検証する。つまりファクター効果のスプレッドリターンと類似した効果があるのかを検証する。

そこで、類似性の検証ということで視覚的にもわかるクラスター分析を用いてやってみる。


クラスター分析とは、データの距離行列から近いものをグルーピングしていき、類似しているサンプル、離れているサンプルを視覚的に判断する多変量解析手法


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