2020年の金相場は、3月に1トロイオンスあたり1450ドルの安値をつけた後、史上最高値まで大幅に上昇し、8月に2072ドルをつけた。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、投資家のリスク回避の動きが強まり、安全資産である金が買い進まれた。各国での行動制限などが強化され、経済活動が落ち込み、中央銀行が金融緩和を進めたことも金相場を支援した。各国で財政支出が拡大され、将来のインフレに繋がるとの見方も相場上昇に繋がったが、金相場は高値をつけた後、利益確定の売りが出やすくなった。
なぜか。それは、米国などで新型コロナの感染拡大ペースが鈍化するなか、投資家のリスク志向が回復し、安全資産への需要がやや落ちたからである。10月、11月では選挙関連で経済縮小の危険性から金相場の上昇が見込まれたが、12月に米製薬大手のファイザーが開発中のワクチンについて、知見で9割以上の有効性を示したことで早期に経済回復が実現するとの期待が高まった。投資家のリスク資産選好が強まり、金は売られた。
今後の相場について ワクチンの期待で、金以外のリスク資産の相場は堅調に推移しているが、21年でも感染拡大をし続けるとワクチンの期待が薄まり、安全資産買いになると思われる。また、米国では、追加経済政策で売電新政権下では、さらに財政赤字が膨らむと予想される。FRBもインフレ率の高まりを容認して金融緩和を続ける姿勢である。
金の相場予想
21年度は、上記の要因からリスクオフの市場相場となり、金の相場上昇が予想される。ワクチンの効果次第ではあるが、現状東京をはじめとした主要都市での感染拡大が継続するのであれば、またリスクオフの相場になると思われるので、金を買うのは安牌であると思われる。
参照先: 週刊ダイヤモンド109号2巻 p16