先週の総予測から早1週間、あの分厚い先週の本を手に取ったとき、次の号は2週間後かと思いきや、なんと通常通り1週間後にきてしまいました。 さすがはダイヤモンドといったところですが、次週の雑誌は流石におやすみということらしいですね。
それでは早速気張ってやっていきましょう。
日本の再生可能エネルギーの主役は陸から海に変わろうとしている。洋上風力発電の導入に対する経済効果は15兆円を越えるとも言われ多様な業界が参入している。 最近では人口減少の著しい秋田県では洋上風力発電の金脈の可能性があるとして、様々な業界が乗り込んでいる。 すでに、日本風力発電や住友商事といった8会社がプロジェクトを初めており、総額2兆円に登る規模を投資されている。 海に面している日本でもなぜ秋田県に注目されるのか要因は2つある。
秋田県では風速7m/s以上の風が吹き日本トップクラスの風力を誇るくらいの自然環境を持っている。 また、「着床式洋上風力発電」を建設できる堆積層の適地ともなっている。 意外にも波の性質が大事になっている。太平洋側ではうねりが激しく海洋工事の難易度が高いため建築コストが高くなる。 それと比較すると日本海側は穏やかなのだ。
東日本大震災後に原発の是非を巡って国内外で議論が白熱する中、再生可能エネルギーの積極的な導入を掲げた。 県の総合戦略で全国に先駆けて洋上風力発電を行っていくことを打ち出し、地上産業として育成する方針である。全国でも人口減少に著しい秋田県の人口は17年に100万人を割った。 若年層の流出した深刻な労働力減少の中、秋田県の主要産業を増やすためにも積極的に誘致をしたかったのではないかと考えられる。
ここまで秋田県の洋上風力発電に魅力があるのか他の再生可能エネルギーと比較した時の強み弱みを比較していく。
洋上風力発電の最大の強みは何と言ってもCO2 を発生しないクリーンな電源であり、燃料費が0であることだろう。 これは、太陽光発電と似た強みである。
発電をするための設置費用が他に比べて高いことだ。なんと電気の単価はダントツで高く1kWhあたり36円もかかる。 さらに不安定な電力の供給が課題である。洋上風力発電は文字通り風任せなので吹かない時は電力は全然供給できない。
まとめると洋上風力発電は地球に優しいが、まだまだコストが高い電源という事になる。 弱みである建築費の削減をしようにも日本ではノウハウが確立されておらず、欧州の環境とも全く違うので難しいところである。
やはりどの業界もノウハウがないというのがネックであり、プロジェクトが進むにつれて岩盤に食いがさせないなどの プロジェクトの進行を中止にするレベルの不慮の出来事が起こってもおかしくはない。 今、プロジェクトを遂行しているゼネコンや電力、再生可能エネルギー事業者はノウハウがないままやっているので、うまくいけば儲けることはできるもののリスクを考えると それらの企業は負けるのではないかと予想する。 一方で勝利するのは風力発電の要であるブロードの部品を作っている会社(ブレードメーカー)とすでにノウハウのある外資系の発電事業者が業績が上がるのではないかと考える。 読めない点があるとすれば総合商社である。総合商社は大規模プロジェクトの組成を得意としているし、欧州で洋上風力発電のノウハウを蓄積しているが依然としておとなしいままである。 特に、三菱商事はオランダの大手電力会社であるエネコの買収に関わる優先交渉権を獲得したのだ。エネコの買収に約5000億円の価格で交渉を進めている。また、 三菱商事は2015年からすでに欧州で4件の洋上風力発電のプロジェクトに参加している。 これらのことから三菱商事は日本のこの洋上風力発電バブルに目をつけているのは間違いない。
勝利する業界 → ブレードメーカー 外資系発電事業者
敗北する業界 → ゼネコン 電力 再生可能エネルギー
商社は先駆者であるゼネコンや電力などの洋上風力発電の動向を見ながら日本の電力市場に介入してくると見ている。 そのため、失敗はしないが大成功を収めるほどの利益を得られるとは言い難いものになると予想する。